ゴットランドはバルト海に位置し、スウェーデン領最大の島である。日本では「魔女の宅急便」のモデルとなった島ということで御存じの方も多いのではないだろうか。
絶景も絶景。中心都市ヴィスビューは世界遺産にも登録されており、町を取り囲むハンザ同盟時代の砦や城壁は中世都市の特徴を見せている。街並みから見る海の景色はそれこそ息を飲むほどの美しさがあり、大半のスウェーデン人がバカンスで訪れたいと憧れる場所でもある。

町から少し中に入ればゴットランドシープの放牧が見られ、のどかな田園風景が広がっている。このゴットランドシープは毛糸やシープスキンに加工され、この島の特産となっている。光沢のある巻き毛は高級感があり、インテリアの邪魔にならない品がある。

「ねえ、モーナ。あなたの素敵なカラーなんだけど、あれをエルクの皮やラムの皮で作ってくれない?エルクの皮は柔らかいから、犬の首を優しく包んでくれるでしょ。あなたのコンセプトにもぴったりの素材だと思うんだけど、どうかしら?」

「あら、羊のフェルトは見た目と違って高温多湿の環境下でもとてもいいのよ。ウールは通気性がいいから、夏は涼しく、冬は温かな素材なの。」
 
羊毛は吸湿にも優れていて、夏は涼しく冬は暖かいという特長がある。日本の様な高温多湿の夏にあっても椅子の上の敷いた羊毛は暑さを増幅させることも無く、反対にさらりとした触感で不快感を消してくれるのだ。
もちろん冬は冬で保温性が高いため、零下の北欧では乳母車の子供の下に敷いたり子犬を包んだりと、幅広く使われている。
北欧ほど日本は寒くないと言っても、床下からの冷気を遮断するためバリケンの下にシープスキンを敷き詰めたり、犬舎の扉部分に垂らして塞いでみたりしたが、寒がりな老犬が一切震えることが無かった。



その羊毛を使ったシープフェルト首輪の特長は弾力性だ。
必要以上に首を絞めつけないハーフチョークタイプにこのフェルトを使うことでショックを吸収し、頸椎への負担を軽減させるという事に成功している。また、30℃程の水温で手洗いができるという利点もある。乾燥後にスリッカーで毛羽立たせて整えることで弾力を復元することができるのもシープフェルトの特性だ。
しかしながらフェルト素材は断熱・保温・クッション性に富んでいるものの、摩擦や引張には比較的弱い。そこで、モーナは丈夫なポリエステル素材テープと組み合わせることで強度を上げることにした。

送られてきた首輪を見て彼女が彼女の工房で製作に没頭する姿が浮かんだ。
 
「私は下手な縫製はしない。そんなのは大嫌い。」
 ザッパな作りの外国製品が多い中、ディテールまでしっかりしているモーナの作品は美しい。彼女のスタンスがそこかしこに見え隠れする作りだ。
一度使ってみるとまた使ってみたくなる・・・そんな使い心地の良さがあるが、ここ日本だ。フェルトは真夏の炎天下では視覚的に厳しい。
 
「そうね・・・見た目を考えて、日本の夏バージョンを考えてもいいわね。」
 
HOTTADOGGAR新バージョン製作開始である。


 
ゴッドランドシープラムの柔らかい皮なども考えてみたりした結果、彼女が選んできてくれたのはトナカイだった。サンタさんがそりに乗って、赤鼻のトナカイさんが引いて・・・そんなイメージしかないトナカイ。でも実はトナカイってとっても美味しいのだ。秋の猟の解禁に合わせてスウェーデンの食卓に並ぶ高級食材、ジビエ料理の代表で、リンゴンソース等のラズベリー系ソースをかけていただく。あっさりしていて癖が無い鹿に似た味だが、鹿よりも淡白な味がする。シンプルに塩コショウだけの味付けでも美味しい。
その皮は身と同じく柔らかくしなやかで、感触が非常に滑らかだ。特筆すべきはその軽さにある。大型犬用の革首輪は重量感が大事と思えるような作りが多いのだが、モーナは首への負担を考えて軽い素材を選んだのである。特に環境汚染や、添加物を嫌うモーナ。皮膚に接する物には神経を遣って、いいものを選びたいと言う。
 
「家具などに使われる皮は、なめしの際に重金属系の溶剤を使うのだけど、有害な化学物質を避け、天然素材で加工してある皮を使いたいわ。多少高くなってしまうけど、犬の健康を考えたら優しい素材がいいと思わない?とても柔らかく、皮膚に優しい素材で、アレルギー反応を起こさない皮がベストよ。」
そして、柔らかい皮にありがちな伸長の問題も考慮していた。



「皮とリボンを縫い合わせる時に、ポリエステル芯に特殊な接着剤を使うと、すごい強度が出るの。型崩れもしにくいし、皮から出る自然な脂がウォータープルーフ(防水)効果ももたらしてくれて、長持ちするのよ。」
 
DINGO用にモーナが作ってくれたトナカイの首輪。希少な皮で作られてお値段は多少お高め。でも、それだけの価値はあるので、是非ご来店いただき、「まあ、綺麗ね〜、素敵!」と、手に取って見て欲しい。しかし問題が一つ。
「ねえ、モナ。いつになったら発送してくれるの?」
「えっ!?この間からあなたのメールを読むたびに不思議に思っていたのだけど、もうとっくに送っているのよ。まだ届かないなんて、ああ、この国の郵便事情はどうなっているのかしら!!」
 
モナの嘆きも仕方が無い。本土から離れた島、ゴットランドだ。特に彼女が住む場所から、郵便局までの道のりは遠い。その郵便局から本土に行って、それが東洋の孤島日本に送られるのだから、何があってもおかしくないのだ。最短10日。航空便でも1か月はザラ。荷物がいつまでたってもスウェーデンを出ないこともある。まあ、無くなってしまわないだけでもいいか。
 
この文明社会にあっても「はるばる」という言葉がぴったりの旅路を、てくてくてくてく、トナカイ皮の首輪はやってくる。そしていつも忘れかけた頃、「DINGOさーん!おはようございまーす!」という元気な声と共に到着する小箱。さて、今回は何がどれだけ入っているのだろうか?開けてみるまで中味はわからない。 到着するまでどこに行くのかわからない、幽霊電車ツアーと同じ興奮かもしれないが、封を切るその手に力が入る。そして、感激と共に出てくるため息。



ああ、なんて美しいんだろう・・・。
 
もともと皮が好きで、靴や鞄を集めるのが好きだった。だからといってただの愛想無い皮リードに嘆息するわけではなく、皮が作り上げるフォルムや他の素材とのフュージョンに惹きつけられるのだ。
大自然が美しいスウェーデンの孤島を背景として、フランス・イタリア・ドイツ・アメリカから厳選されたリボンがトナカイ皮と融合し、日本の犬達の首を彩る。なんたるワールドワイドなファンタジー。
 
ちょっとお値段がお高めな理由は前述した通り。いいものであることが理解されるまでには時間がかかりそうだが、出来上がって日本に届くまでの時間を考えると、ゆっくりじっくり皆さんに知れ渡ってもらえる方がいいのかもしれない。だって・・・・到着がいついなるかわからないというゴットランドタイム・・・大自然相手にタイムリミットを設けるなんて、そんな野暮なことはしたくないし、それはそれでお楽しみだから。。。
 



 

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